WEBサイトは現代のビジネスや情報発信において欠かせない存在ですが、サイバー攻撃の標的になりやすいのも事実です。SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、DDoS攻撃など、WEBサイトを脅かす攻撃は多岐にわたります。
そこで重要となるのが「WAF(Web Application Firewall)」です。
この記事では、WAFの基本から、WEBサイトをサイバー攻撃から守るために知っておくべき5つの必須知識を解説します。
WAFとは?
WAF(Web Application Firewall)は、WEBアプリケーションとインターネットの間に設置され、悪意のあるトラフィックを検知・ブロックするセキュリティツールです。
従来のファイアウォールがネットワーク層の保護に重点を置くのに対し、WAFはアプリケーション層(HTTP/HTTPS)の攻撃に特化しています。例えば、不正なリクエストや悪意のあるコードをフィルタリングし、WEBサイトの安全性を高めます。
WAFは以下のような役割を果たします。
- 攻撃の検知・ブロック:SQLインジェクションやXSSなどの攻撃パターンをリアルタイムで検出し、ブロック。
- トラフィックの監視:不審なアクセスや異常なトラフィックを可視化。
- コンプライアンス対応:PCI DSSなどのセキュリティ基準を満たすための支援。
WAFは自分では管理できない、サーバー側で設定を変更する
レンタルサーバー契約者は、基本的に個別にWAFをインストールする必要はありません。
ほとんどの場合、サーバー側にWAF機能が標準搭載されているためです。そのため、利用者が必要に応じてWAF設定をオン・オフに切り替えるだけで対応できます。
例えば、「ロリポップ!レンタルサーバー」には管理画面でWAFの設定をオン・オフが簡単に行えます。
WEBサイトをサイバー攻撃から守る5つの必須知識
WAFの基本的な仕組みを理解する
WAFは、ルールベースまたは機械学習を用いてトラフィックを分析します。主な動作モードは以下の2つです。
- シグネチャベース:既知の攻撃パターンを基にブロック。
- ビヘイビアベース:異常な振る舞い(例: 短時間に大量のリクエスト)を検知。
WAFはクラウド型、オンプレミス型、またはホスト型(サーバー内に組み込み)で提供されます。クラウド型は導入が簡単で、リアルタイムのアップデートが可能なため、初心者にもおすすめです。
ニーズ(予算、スケーラビリティ、専門知識)に合ったWAFの種類を選ぶことが重要です。
主要なサイバー攻撃とWAFの対応策
WAFは以下のような一般的なWEB攻撃を防ぎます。
- SQLインジェクション:データベースを操作する不正なSQLクエリをブロック。
- クロスサイトスクリプティング(XSS):悪意のあるスクリプトの実行を阻止。
- DDoS攻撃:異常なトラフィックをフィルタリングし、サーバーの過負荷を防ぐ。
- ゼロデイ攻撃:未知の脆弱性を悪用する攻撃に対し、機械学習や挙動分析で対応。
WAFのルールセットを定期的に更新し、最新の脅威に対応できるようにしましょう。
WAFの導入前に考慮すべきポイント
WAFを導入する前に、以下の点を検討してください。
- 誤検知(False Positive)の管理:正常なトラフィックを誤ってブロックしないよう、ルールのチューニングが必要。
- パフォーマンスへの影響:WAFはトラフィックを検査するため、遅延が発生する可能性がある。高速なWAFを選ぶか、CDN(Content Delivery Network)と組み合わせる。
- コスト:無料のオープンソースWAF(例: ModSecurity)から高機能な商用WAFまで、予算に応じた選択肢がある。
テスト環境でWAFを試し、本番環境での影響を最小限に抑えましょう。
WAF以外のセキュリティ対策との連携
WAFは強力ですが、単体では完全な保護は難しいです。以下の対策と組み合わせることで、より強固なセキュリティを実現できます。
- SSL/TLSの導入:通信を暗号化し、データ盗聴を防止。
- 定期的な脆弱性スキャン:WEBアプリケーションの脆弱性を発見・修正。
- バックアップと復旧計画:攻撃によるデータ損失に備える。
- IDS/IPS:侵入検知・防止システムでネットワーク層の脅威をカバー。
WAFをセキュリティ戦略の一部として位置づけ、多層防御を構築しましょう。
WAFの運用とモニタリング
WAFの効果を最大化するには、継続的な運用とモニタリングが欠かせません。
- ログ分析:攻撃の試みやブロックされたリクエストを定期的に確認。
- ルールのカスタマイズ:サイト固有のニーズに合わせてルールを調整。
- アップデートの適用:新しい攻撃手法に対応するため、WAFのソフトウェアやシグネチャを最新に保つ。
専任のセキュリティ担当者がいない場合、MSSP(Managed Security Service Provider)やクラウドWAFのマネージドサービスを活用するのも有効です。
WAFの選び方とおすすめツール
WAFを選ぶ際は、以下の基準を参考にしてください。
- 使いやすさ:直感的な管理画面や設定の容易さ。
- スケーラビリティ:トラフィック増加に対応できるか。
- サポート体制:緊急時の対応や技術サポートの充実度。
おすすめのWAFツール
- Cloudflare WAF:クラウド型で導入が簡単、DDoS対策も強力。
- AWS WAF:AWS環境との統合がスムーズ、カスタマイズ性が高い。
- ModSecurity:オープンソースでコストを抑えたい場合に最適。
個人でレンタルサーバーを契約する人はWAFが標準搭載されていることが多いので、特に設定をいじる必要はありません。オンまたはオフにするだけです。
WAFの影響で起こるトラブル
WAFは、不正なコードの書き換えを防ぐ重要な役割を果たしますが、その影響でWebサイトの変更が難しくなる場合があります。
例えば、WordPressのJavaScriptを使用したウィジェットの変更やコクーンなどのテーマ設定の更新を試みる際に、以下のようなエラーが表示されることがあります。
『403 Error: 現在、このページへのアクセスは禁止されています。』
このエラーは、WAFが不正コードを防止するためのセキュリティ対策として機能している結果です。このような状況で変更を行うには、契約しているレンタルサーバー側で一時的にWAFを無効にし、5分以上待機した後に再度変更を試してください。
例えば、「ロリポップ!レンタルサーバー」に契約している方は管理画面にログインして「セキュリティ>WAF設定>設定変更>無効にする」からオフに出来ます。なお、設定が反映されるまで5分以上かかります。
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